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麻布の隠れ家

 友人と、麻布にある隠れ家的なバーに行った。雑貨屋を見つけるたびに立ち寄りながら、駅から5分の距離を30分かけてゆっくりと・・・。

 このバーは、ある意味、会員制と言ってもいいだろう。まず、地下にあるので、大抵の人は地下への階段に気付かない。気付いて、階段を下りて行っても、入口で自分の名前、もしくは「開けゴマ」ではないが「合言葉」を言わなければ玄関を開けてもらう事はできない。

 僕は、昨年末に、この店のオーナーと知り合いになったため、出入りが許されるようになった。昨年末に初めて友人と行ったときに、オーナーが、500件で一杯となっていた携帯電話のアドレス帳から、最近疎遠になっている1人を消して、代わりに僕を登録してくれたその瞬間、僕とオーナーは友人となり、僕もこの店の出入りが許されるようになった。そんな経緯がある。

 ちなみに、このオーナーはとんでもないセレブである。あのクリントン元大統領が、来日した時に彼女と会うためにスケジュールを調整したほどの大物。政財界にとてつもなく顔が効く。

 しかし、決してそれを鼻にかけるところがない。このあたりが、本物のセレブのようで小気味いい。ボクの母と同じくらいの歳だと思うが、ボクは親しみを込めて「姉さん」と呼ばせてもらっている。

 また、この店の常連客が凄い。枚挙にいとまがないが、少しだけ挙げると、演歌の大御所Kさん、伝説のプロレスラーAさん、何人ものスーパースターを輩出した日本のミュージック界をリードするプロデューサーKさん、などなど。

 ちなみに、「姉さん」は、明日、昭和の歌姫Mさんの息子さんの結婚式に参列するそうだ。

 と、ここまで読んだ方は、とんでもなく高いお店を想像するかもしれないが、そんなことはない。そもそも、ボクが足を運べる時点で、値段はたかが知れている。2人で2万円あればお釣りが来る。

 この「姉さん」だが、ある大物歌手の実の姉である。初めて行ったとき、彼女から見たら弟に当たるその歌手を紹介してもらったのだが、そのことを帰省したときに両親に話しても、一向に信じてもらえなかったほどの大物歌手。

 今までは、あまりのセレブのために、友人と一緒でなければ行くのを躊躇していたが、本日、4時間たっぷりと話をして、「大村君、これから、暇なら1人でもいらっしゃいよ。店に来る前に私に電話をくれれば、私が店にいるかどうかわかるし、1人で来たときには、私が話相手になるわよ」とことばをかけてもらった。

 よく言えば社交的なボクは、そのことばどおり、これからは1人でもその店に足を運ぶであろう。もちろん、誰か友人を連れて行くかもしれない。早速、来週、また行こうと思っている。

 どんなに大物でも、相手の目線で話ができる。相手の立場で物事が考えられる。相手の職業や人格を理解しようと努める。ボクも、そんな人間になりたい。そう痛感させられた一夜だった。

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