サラリーマンの給料はなぜ生活費に消えてしまうのか?(44)
義務教育がひた隠す目からウロコの危険な経済学
第44話
エピソード5
サラリーマンは現代の奴隷か?(9)
スカーフは、ブレッドにパンを持参で公園に来て欲しいと頼み、そのマフラーを手に公園に向かった。
「スカーフ! お望みのモノ持って来たよ。ほら、三日かけて焼いた自慢のパンだ」
「ブレッド! ありがとう。本当に美味しそうね」
「で、今日呼び出したのは何の用だい? ひょっとして、このパンと何かを交換したいのかい」
「ええ、ビンゴよ。このマフラーを見て!」
ブレッドは、穴が空くほどそのマフラーを見つめると言った。
「うーん。素敵なマフラーじゃないか。当然、そのマフラーを編むのに三日かかったんだよね」
「もちろんよ。昨年、三日かけて編んだ自信作よ。どう、ブレッド。これなら、そのパンと交換してくれるわよね?」
ブレッドは、一瞬、険しい表情を見せて言った。
「昨年、編んだの? じゃあ、誰かが巻いていたの?」
「ええ、私が昨年の冬に巻いていたわ。でも、見て。きちんと洗濯もして、真っ白でしょう」
「……。スカーフ、確かに君は魅力的な女性だ。思わず、その瞳と透き通るような白い肌に吸い込まれそうになる。だけど、それとこれとは話は別さ。その取り引きには応じられないよ」
……。どこかで聞いたようなセリフである。
「まあ! 女の私に恥をかかせて! 許せない。もう結構よ。さようなら。あなたの今後の活躍を願っているわ!」
色白の顔を真っ赤に上気させてベンチから足早に立ち去るスカーフの後姿を見送りながら、ブレッドは肩をすぼめて呟いた。
「オー、マイ、ガッ!」
ともに三日の労働時間で作られた商品。それなのに、なぜ交換が成立しなかったのか。その話は次回に。
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