「篤」が「あつし」に変わるまで(6)
主要登場人物・団体
●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●福島一郎・・・謎の人物。
●宮城社長・・・私の経営していた会社の主要取引先の社長。実在する人物だが仮名。
Episode 6
出版社?
代表取締役?
聞いたことがない名前だが、名刺にはそう書かれている。
それに今、「僕の会社」と言った。
出版社の社長?
この人、さっきパソコンの前でなんて言った?
「その本書いてみたら?僕が力になりますよ」
確かにそう言った。
力になるってどーゆー意味だ?
かつて、一度でも僕をこんなに考え込ませる名刺があっただろうか。
しかし、一言、僕が一言尋ねれば、この疑問は氷解する。
それがわかっていても、その一言が切り出せない。
そのうち、2人の社長は歓談を始めてしまった。
仕方がない。
しばらく様子見といこう。
そう観念しかかったが、チャンスはすぐに訪れた。
顔なじみの宮城社長がMacを指差しながら
「あの種類のパソコンをビジネスで使うのはめずらしいんですよ。私はコンピュータのことはまったくわからないんですけど、あのパソコンはデザイナーとかが使うやつで、あまり業務用向きじゃないんですよ。でも、せっかくあるものを遊ばせておくのも何だから、大村君に相談したら、『工夫すれば業務用でも使える』と言うもんで、今回お願いしたんですよ」
二度目の援軍だ。
これなら切り出せる。
