« 「篤」が「あつし」に変わるまで(14) | メイン | 「ジャッキー・チェンの映画にスタント」ニュースはナンセンス »

「篤」が「あつし」に変わるまで(15)

< 第1話 からお読みください >

主要登場人物・団体

●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●福島一郎・・・品川出版(株)の社長。実在する人物だが仮名。
●品川出版(株)・・・在京の出版社。実在する会社だが仮名。

Episode 15

- 意味不明な30万円の支払請求 -

「え!30万円!?」

「はい、そうです。ただ、これは前受け金ではありませんので、成功しても成果報酬を別途いただく、ということはありませんのでご安心ください」

「ちょ、ちょっと待ってください。おっしゃる意味がさっぱりわかりません。これって自費出版なんですか」

「いえいえ、まさか。たった30万円で自費出版はできませんよ、ははは。自費で出すと、最低でもその10倍、300万円はかかりますよ。もちろん、しかるべきところから、しかるべき形で出版されると思います。当然、大村さんの元には印税も入りますよ。無事出版されればですが」

しかるべきところ?
何を言ってるんだ、この人?
品川出版が出版してくるんだろう?

無事出版されれば?
原稿が完成すれば出版してくれるんじゃなかったのか?

実は、僕はこの後のやり取りを正確には記憶していない。
80%の落胆と20%の混乱の中で、かなり取り乱していたことは想像に難くないが・・・。

そして、訳もわからぬまま30万円を支払うことには同意し、翌日には指定の口座にとりあえず振り込みを済ませたのであった。

さて、ここまで連載をお読みの方は、僕が詐欺にでもあったかとお思いだろう。
もちろん、詐欺まがいであることは間違いないが、厳密には詐欺ではない。
僕の無知と福島社長の「お調子者」な性格が巻き起こした「悲劇」と言った方が正確だろう。

そう、やはりそう簡単に本など出版できるはずは、最初からなかったのだ。

一体、福島社長なる人物は何者なのか。
実は、これまでの僕達のやり取りの中にも、そのヒントは随所に隠されている。
ただ、無知な僕がそれに気付かなかっただけのこと。

では、その謎解きはまたのお話。

⇒ 第16話へ