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「篤」が「あつし」に変わるまで(38)

< 第1話 からお読みください >

主要登場人物・団体

●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●エーアイ出版・・・僕がデビューを果たした出版社。もちろん実在する。

Episode 38

- 篤をあつしに変えたとき -

友人は、食後のコーヒーを飲みながら、「篤」でいいじゃないか、とあくまでも本名説を主張する。
う~ん。
そこまで言うのなら・・・。

友人の言うとおり、一生で最初で最後の晴れ舞台だ。
思い切って本名にしてしまおうか。

結局、その日は結論は出なかったが、翌日書店でパソコン書籍の著者名を徹底的に調べていて、僕はある事実に気がついた。

そう!
ひらがなやカタカナの著者名が一つもないのだ!

その瞬間である。
「篤」が「あつし」に変わったのは。

「あつし」であれば、音声にしたときには本名である。
しかし、見たときには・・・
何とも字が丸くてかわいらしいではないか!
もう、頬擦りしたいくらいである。

この、漢字だらけの著者名の中に、もし「あつし」とあればきっと目立つぞ!
となれば、僕の本を読んでくれた方は、書名だけでなく、著者名も覚えてくださるかも知れない。

もしそんなことになれば、それだけでも生まれてきた甲斐があるというものだ!

この日この瞬間から、僕は「大村篤」ではなく「大村あつし」として新しい人生を歩むこととなった。

しかし、こんなに長い付き合いになろうとは・・・

今では「篤」という文字に違和感を覚えるほど「あつし」という文字に愛着を感じている自分がいる。

さて、肝心のデビュー作であるが、いよいよ発売日が近づいてきた。

ただし、それは次回のエピローグでのお話。

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